氷点下プロジェクト KENDON水冷マルチペルチェシステム ! 

 KENDON水冷ユニットの組込みが、完了し、いつでも氷点下冷却が出来る環境が整いました。

(初めての方は、ここをご覧になる前に、空冷ペルチェページからお読みください。)

■システム構成  1999.7.7現在
   

 

パーツ モデル 補足
M/B  AX6BC TYPE-R V.spec EXcraft 3.3V拡張アダプターにてVI/O喝入れ
CPU  Intel Pentium!!!550MHz at 760MHz (L2 ON !) SL3FJ 99180483-00** 
5/5/99 MADE IN MALAYSIA
Cooling KENDON水冷マルチペルチェシステム KENDON水冷ユニット + マルチペルチェプレート + L2冷却アダプター +  OLGAアダプター + ピラミッドバッファ使用
ペルチェ電源 ALINCO DM-340MV  MAX 15V 35A  重量10Kg !
Memory 128M SDRAM PC100 CL2 Hyundai
Video canopus SPECTRA 3200 AGP
HDD IBM DRVS 09V Ultra2をUWで使用
Sound CREATIVE Sound Blaster Live !  
SCSI ADAPTEC AHA-2940UW  
CD ASUS CD-S500 50倍速 U-DMA/33
P/S TechnoBirdJapan 300W ATX 排気型ファン
Case TechnoBirdJapan IW-Q500 ATX  Full Tower 
Moniter EIZO E55D 17inch ダイアモンドトロン管 
OS Windows98

■ KENDON水冷ユニット
AB
KENDON水冷ユニットは、水枕の理想形を求め辿り着いた銅製角パイプ集合方式を採用し、冷却面高精度フライス加工と相俟って、水枕として最高レベルの効率を発揮できます。CPU負荷時にも係わらず、コア付近温度で氷点下冷却が可能です。冷却部は、銅6ミリ角パイプを7本並列に並べ、左右の真鍮製丸パイプに挿し、ロウ付して います。銅パイプの肉厚が1ミリと比較的薄く、また、水路を太くシンプルにしたため多くの流水量を確保でき、良い効率を得ています。KENDONマルチペルチェプレート用で、固定用ビスM3を2本付けてあります。(写真A) 
冷却管断面の拡大です。右端のパイプのみ先の形状が他と異なるのは、組み立て時の位置決めの為です。(写真B)
 
KENDON水冷マルチペルチェシステムの組み立て

 使用例として、PU333(SL2WY)にて説明
 
C 主用部品構成

上から、

KENDON水冷ユニットWU-1

8.5A 4cm角ペルチェ素子2枚

KENDON マルチペルチェプレート MPP-P2・3

KENDONオリジナルピラミッドバッファ PB-25

L2冷却アダプター L2-1 1組

PentiumU333 (SL2WY)

 CPUにCeleron(SEPPタイプ)を使用する場合は、マルチペルチェプレートをCeleron用のMPP-Cにします。L2冷却アダプター L2-1は、不要です。

 組み立てた状態
 写真Cの部品を組み立てます。L2冷却アダプターは、現物合わせで、削り、正確に厚さを調整し、コアとの密着状態も、確認しておきます。各熱伝導面には、熱伝導グリスを塗付しておきます。取付けナット、ビスは、強く締めてはいけません。
 

CPU取付け金具
 CPUの取付けには、M3(ISO)のビスを4本使いますが、CPU基板のたわみ防止に、左の写真のように、ポスターのフレームなどに使用するアルミのコの字型材を加工した、補強材を使用しています。CPU基板接触面には、ショートしないようにビニールテープなどを貼っておきます。
水冷ユニットの下部には、十分なスペースがあり(15mm程度)、ほとんど全てのSlot1マザーボードに取り付け可能です。

■結露防止断熱加工

CPUスロット内の結露防止
CD
 水冷ペルチェで、CPUを氷点下にまで冷却しますと、CPUスロット内にまで、結露が発生します。これを防止する為、M/BのCPUスロットを外側から加熱する方法が、有りますが、私は、直接CPUのスロット部をヒーターにより加熱することにしました。
 これに威力を発揮するのが「廃人の庵」のヒロ坊さん作のヒーターです。写真Cのループの所が発熱部で、その両端にリード線が付いていて、伸ばすと1本のコード状となります。発熱部を短く(27cm)とする為、特殊な構造となっているそうです。発熱部の太さは、2.3mmと細いので写真DのようにCPUのスロット部に巻いて使用できます。実際は、CPU基板に貼る結露防止ポリエチレン発泡板に溝を切り、埋め込む形となります。ヒロ坊さんは、このプロジェクトの為に、わざわざ作製してくださいました。 ヒロ坊さんに感謝いたします。

ヒーターをご希望の方は、ヒロ坊さんに 直接、お問い合わせください。 ヒロ坊さんへ 

ポリエチレン発泡板による、冷却系全体の断熱密閉
EF
私は、写真Eのように、10mmのポリエチレン発泡板を加工し、CPUを含む、冷却系全体を覆う形で、結露防止断熱密閉を行っています。CPU部には、凹凸があり、難しそうに思えますが、、始めてみると、意外に簡単に加工できることが分かりました。方法は、発泡板にCPUを軽く押し当て、跡をつけ、そこにマーキングを行いながら、削って行くという方法です。発泡板の加工は、カッター、一本で行っており、特殊な加工は、行っていません。広い面を削る時は、カッターの刃を長く出し、カッターを細かく動かしながら削ります。カッターの刃は、新品の切れ味の良いものを使うことが、上手く仕上げるコツです。
 写真Fは、ポリエチレン発泡板の部品を接着により組み上げたものです。ポリエチレン発泡板どうしの接着には、セメダイン(株)のスーパーX接着剤を使用しました。私の場合、写真Fの面で、分割し、CPUを交換できるようにしています。この面は、接着せずにシリコーングリスを塗り、気密を保っています。もちろん熱伝導面には、熱伝導グリスを使用します。右側に出ているコードは、上から、ペルチェ素子電源用、漏水・結露センサー用、CPUコア温度センサー用、スロット結露防止ヒーター温度センサー用、スロット結露防止ヒーター電源用の計5本です。

GH
 CPUスロット結露防止ヒーターは、写真Gのように、結露防止ポリエチレン発泡板に溝を切り、シリコーン充填材・接着剤により、埋め込んでいます。
私は、接着力の強いセメダイン(株)のスーパーX接着剤、比較的接着力の弱い信越シリコーンゴムKE45Wを使い分けており、後で剥がす可能性があるCPU側などには、後者を使用しています。ヒーターを取りつける際は、位置に注意し、CPUを、スロットに差し込む際の妨げにならないように注意します。また、写真HのようにCPU取り付けネジ部に蓋を付け、CPUを交換できるようにしています。ここも、シリコングリスで気密を保っています。
 
ケースに組み込んだ、KENDON水冷ユニット。ケースへの固定は、市販のステンレスステーを使用しています。後でホースにも、結露防止用の断熱材を巻きます。チップセットのヒートシンクへの通気が、少々、悪くなった為、小型ファンにより、冷却を強化しました。

■結露水漏れ検知装置の設置
 
万一の結露・水漏れ等に備え、検知装置を装着します。これには、水の電気伝導を利用した、風呂水水位検知機をそのまま、用いることができます。センサー部は、水冷ユニットの最下部にあたる場所等に設置します。センサー部を分岐すれば、1台の検知機で数ヶ所を監視することも可能です。風呂水水位検知機は、キットでも、安く販売されております。(左の写真は、東急ハンズで1,600円で購入したキット)

冷却水確保について

 1. お手軽 水道直結法
 最も、お手軽な方法として、水冷ユニットを水道水栓(蛇口)にホースで直結する方法があります。この方法を用いれば、後述するポンプ、タンク、冷却水の二次冷却等も全く必要とせず、手軽に水冷ペルチェで氷点下冷却の実験をすることが可能です。排水は、汚れませんので、ホースを延ばし風呂などに溜め、再利用して下さい。常用までは、したくないという方に超お薦めです。

 2. 常用を視野にいれた 冷却水循環法
 水冷システムの常用を考えた場合、やはり、冷却水循環方式による水冷を考えなくてはなりません。冷却水タンクを設け、タンクから冷却水をポンプにより循環させる方法です。自動車エンジンの水冷装置と似た、構成となります

冷却水タンク→ ポンプ → KENDON水冷ユニット → 冷却水二次冷却装置 →冷却水タンクに戻る (循環)

・ 冷却水タンクについて
 通常、15L程度のポリタンクを利用します。下で書く、冷却水の二次冷却を冷水機などを用いて強力に行う場合は、冷却水が漏れない、クーラーBOXを使用します。

・ 冷却水の冷却について(冷却水二次冷却装置)

 冷却水循環法を採用した場合、時間の経過に従い、CPU、ペルチェ、ポンプの発熱などにより冷却水温度が上昇してきますので冷却水の冷却について考える必要があります。

1.ラジエターによる冷却
 電動ファン付きのラジエターを用いる方法です。ラジエターは、バイク、自動車用などを流用します。ラジエターの入手は、自動車の中古部品業者をあたれば簡単に入手できるでしょう。通常この方法では、気温以下に冷却水を冷却することは、できませんが、ラジエターに水をかけ、気化熱を利用することにより効率を上げることは、考えられます。

2.活魚用の冷水機を用いる
 この方法は999さんのホームページの冷え冷え展覧会で紹介されているようにmasamotoさんにより行われ、話題になった方法です。コンプレッサーを内蔵した冷水機で代表的な活魚用の冷水機メーカーとして、(株)レイシー(TEL03-3256-0571)、(株)ゼンスイ(TEL048-798-5051)などがあります。これらのメーカーでは、鑑賞魚用の手軽なものから、いけす用で特注大型のエアコン室外機を利用したのものまで、多数の種類を販売しています。ここで、使えそうなものは、鑑賞魚用の中容量のものです。冷水機内に冷却水を循環させ冷却するチラー型冷水機の冷却部を別に用意した冷却タンクに沈ませ使用する投込み型と呼ばれるものが有ります。鑑賞魚専門店などで取扱っています。

活魚用冷水機の例  
REI-SEA LXシリーズ
REI-SEA RZシリーズ
ZENSUI チラー型
ZENSUI 投込型

購入する時の注意点として

 ・ 水温設定が最低何度まで可能か (当然低く設定できるものが良い)
 ・ 冷却能力は、足りるか (カタログを取り寄せ、熱量計算をしてください。私はサポートできませんm(__)m)
 ・ 作動音は、静かか
 ・ 冷却水として自動車用クーラント(エチレングリコール)の使用は、可能か 

などを考慮する必要があります。この方法は、コストは、掛かりますが、常用には、最も適していると思います。

3.エアコンなどを改造し、冷水機とする
 不要になったエアコンを改造し、エパポレーターを外に引き出し、これを冷却水タンクに投入して冷却水自体を氷点下にまで冷却する方法です。この方法は、以前から先駆者的エクステンダーの方々により試され、コア付近温度-30から-50℃程度の極低温まで冷却が可能といわれています。
 私は、今回は、手元にあって使用していなかった冷風機を改造し、冷却水冷却機を作成しました。この改造は、bunnyさんによっても行われ好結果を得ているようです。尚、この方法は、危険が伴いますので、一般の方にはお薦めしません。

エアコン改造投込み式クーラント冷却機 (コロナCD-100冷風機改造) DATE 1999.3.1


消費電力275W   750Kcal/h (50Hz) 冷媒R22

テスト結果
室温25℃  冷却水 6L (LLC50%)   熱源(CPU、ペルチェ、ポンプ)なし 

 
経過時間 0分 5分 10分 15分 20分 25分 30分 35分 40分 45分 50分 55分 60分 65分 70分 75分 80分 85分 90分
クーラント温度(℃) 25 18 12  5 3 -2 -6 -8 -10 -12 -13 -14 -16 -16 -17 -18 -18 -19 -20

■冷却水について

 水冷ユニットに用いる冷却水は、強力な二次冷却を行わず、冷却水が凍結しなければ水道水でも可能です。冷却水循環法で水道水を用いる時の注意として、冷却水の腐敗に注意する必要があり、定期的に水を替え、水を清浄に保つ必要があります。
  上記の冷水機、エアコンなどを用い、冷却水が、凍結する恐れがある場合は、自動車用ロングライフクーラント(LLC)を水道水に添加し、冷却水とします。LLCの濃度については、LLCの容器に凍結温度と濃度の表が記されていますので、これを参考として決定します。LLCを添加することにより、腐敗の心配も無くなり、防錆作用もありますので、添加をお薦めします。尚、LLCの主成分であるエチレングリコールは、有害であり、幼児の誤飲事故等には、十分な注意が必要です。(甘いそうです)
 
普通クーランドには、赤とか緑とか毒々しい着色がされています。その為、衣服等に付着するとなかなか落ちません。無着色クーラントも販売されてますが、4.4Lで 5,000円と、高価 !(通常品の倍以上の価格) なんとフランス製 ?! 成分的に普通のクーラントと変わらないようです。(エチレングリコール92%)

■ポンプについて

 * マグネットポンプ
 
A  冷却水循環用ポンプは、SANSOのPMD-0531B2Bのようなマグネットポンプ(写真A)が一般的です。AC100V仕様で最大吐出量は、50Hzで11L、60Hzで12Lです。  IwakiのMD10と大体、同一性能とのことで購入しました。価格は、こちらのほうが少々、安いようです。こちらも、ホース口は、外径約14ミリです。 

 * 縦型ポンプ 
 
BC レイシー P-112A

電源 : 100V 

消費電力 : 9W/10W

最大吐出量
11L/分 / 13L/分

最高揚程 
0.9m / 1.3m

 冷却性能を追い求めると、マグネットポンプでは、構造上ポンプ部の発熱が、冷却水に吸熱されることが有り、気になりだします。そこで、縦型ポンプといわれるものに交換してみました。このホンプは、ポンプ部とモーターが離れているので、モーターの発熱が冷却水に伝わることは、全く有りません。また、呼び水注入の面倒な作業も要らないのが、大きな特長です。  更に、ポンプ部は、タンク内に入る為、ポンプ部の漏水事故の心配も有りません。私は、縦型ポンプを使っている方を他に知りませんが、今後は、こちらが主流になる気がします。 写真B > (株)レイシーP-112Aのセット内容 (他に説明書有り)
 B写真内左端がポンプユニットです。モーターは、上部に有り、10cm強のシャフトを経て最下部のポンプ内のインペラが回転する仕組みです。このポンプ部が、液中に没すれば使用可能です。モーターとインペラが直結しているので異物を巻き込んだ時などを除き、マグネットポンプのようにインペラの負荷によりモーターのみが空転することは有りません。モーター部は、かなり発熱しますが、触れられないほどではなく、問題ありません。写真内上部中央は、鑑賞魚用水槽ヘ取りつける時に使用する部品ですが、今回は、使用していません。B写真内右の3つのパイプは、右端の長いもののみ使しています。

冷却水温度−20度以下で、ご使用になる等の場合は、この上のサイズの縦型ポンプ レイシーP-318A等が必要でしょう。(低温により、クーラント水溶液の粘度が上がる為です)

 KENDON水冷ユニットのホース接続部(タケノコ部)は、タケノコ部最大径14.3mmで、これらの小型ポンプに合わせて設計されています。

■冷却水タンク 

 上記の冷風機改造のクーラント冷却を行うと、クーラントを−20℃以下に冷却する事ができます。この温度でクーラントリザーブタンクにポリタンクを使用すると、表面が霜だらけになり、保温もできません。そこで、市販のクーラーBOXを利用してリザーブタンクといたしました。
 
 ダイワ精工(株)のPROVISOR SXU-700

真空パネル + HPウレタン断熱材使用で普通のクーラーBOXの2.3倍の保冷力を有する。

容量 : 7L

 上記クーラーBOXでは、高さが足りず、コロナ冷風機のエパポレーターを収めた状態で、蓋をする事ができません。そこで左の写真のようにポリエチレン発泡板を使い、少々嵩上げしました。接着には例のごとくセメダイン(株)のスーパーX接着剤を使用しました。(クーラーBOXに付いた接着剤は、後に剥がす事が、可能です--> クーラーBOXとして再利用可です) 蓋には、穴を明け、縦型ポンプを装着しています。ポンプ下部の黒いパイプが吸込み側となります。

■ホースについて 
  
 ホースには、内径12〜13mmのものを使用します。ホームセンターに行くと何種類かの材質のホースが販売されてますが、私のお薦めは、内径13mmのソフトガスコードと呼ばれるゴム製多層構造のガスホースです。低温では、硬化しますが、稼動時に移動しなければ問題は、無いでしょう。このホースは、不透明で水流の確認が出来ませんので、一部に透明ホースを用いることをお薦めします。何れのホースを使用する場合も、必ず、各接続部には、ホースバンドを用い確実に接続します。

 左の写真のようにポリエチレン発泡パイプ(東急ハンズで購入、水道工事業者からも入手可)を用い、結露(結氷)防止断熱を施します。

PC側のホース断熱の様子です。この状態でクーラント温度-20℃程度から立ち上げ、連続運転しても何処にも結露は起きていません。しかし、油断は禁物 ! 万一の結露に備え、前に記した検知装置を必ず設置し、結露等で水が滴下すると思われる所へ難燃性のプラスチックトレーなどを設置します。備え有れば患えなしです。

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ご注意

 メーカー規定外での各機器のドライブ、改造等は、CPU、更にはシステム全体に致命的なダメージを与える可能性があります。上で書いたことを行う場合は、皆様の自己責任のもとに行ってください。